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第18回沖縄平和ネットワーク総会決議

2011年10月09日

文部科学省は、八重山採択地区の教科書採択に関する通知を撤回し
9月8日の三市町の全教育委員による協議の結論を尊重するよう求める決議

八重山採択地区(石垣市、竹富町、与那国町)の中学校で2012年度から使用される公民科教科書の採択について、9月8日、同一教科書を採択するための「協議の場」として、3市町の全教育委員が参加する教育委員会臨時会議が開催されました。また、沖縄県教育委員会もその「協議の場」を「指導・援助」する立場で同席しました。

協議の結果、8月23日の教科用図書八重山採択地区協議会の公民科教科書は育鵬社版との答申を「不採択」とし、現場教員が調査員となって作成された教科用図書調査研究資料の中で評価が高かった東京書籍版を採択することが決まりました。

ところが文科省は、「9月8日の全教育委員による協議は3教育委員会の合意のないまま行われている」こと、玉津石垣市教育長と崎原与那国町教育長から「協議は無効である」との文書が提出されていることを理由に、「協議は整っていない」と判断しています。

さらに9月15日、文科省は、沖縄県教育委員会に対して、「八重山採択地区協議会の規約に従ってまとめられた結果に基づいて」、採択地区内で同一の教科書を採択するよう指導を行うことを求める通知を出しました。

しかし、この通知は、文科省が、教科書採択についてなんら法的拘束力のない「八重山採択地区協議会の答申結果」を八重山地区三教育委員会へ押しつけようとするものであり、教育委員会の採択権限を侵害し、育鵬社版を採択する方向へ誘導しているものといっても過言ではありません。

育鵬社版公民教科書は、天皇を中心とする日本の伝統を情緒的に強調し、日本国憲法の基本原則である平和主義、基本的人権、国民主権を軽視した記述を行っていることから、全国的にも専門家・研究者を含む多くの市民から採択に反対の声が上げられています。

育鵬社版の平和主義と自衛隊についての記述は、日本国憲法の前文を単なる理想ととらえたうえで「現実の国際政治とが異なっていることから防衛体制の整備や強化など、現実的な対応をしてきました。自衛隊は日本の国防に不可欠であり、また災害時の救助活動などでも国民から大きく期待されています」と自衛隊を過大に評価し、憲法違反である軍隊としての自衛隊の役割を正当化しています。

そして日米安全保障条約については「戦後の日本の平和は、自衛隊の存在とともにアメリカ軍の抑止力に負うところも大きいといえます」「日本だけでなく東アジア地域の平和と安全の維持にも、大きな役割を果たしています」と米軍の軍事力によって平和が維持されているという一方的な見方を押しつける内容であり、憲法の、軍事力によらない平和の理念をないがしろにするものです。
さらに沖縄の米軍基地問題についても小さな写真があるのみで、本文では全く触れられていません。戦後の沖縄について学ぶためには米軍基地があるが故に発生する米軍人・軍属による犯罪や軍用機の爆音等の基地被害や人権侵害を抜きに考えることはできません。

八重山採択地区協議会に提出された教科用図書調査研究資料でも、育鵬社版教科書について「軍事力に頼らない平和への努力や、憲法9条が果たしてきた役割がほとんど記述されていない」「自衛隊による軍事抑止力を強調し、憲法9条を改正する方向へ誘導するような内容で、あたかも徴兵制が当然のような内容で述べられている」との評価が出されています。
このように育鵬社版は憲法の基本原理をことごとく軽視しており、現場教員もマイナス評価をせざるをえないという教科書なのです。このような教科書が学校現場に持ち込まれれば、平和な国際社会、民主的な国家の担い手として子どもたちを育成することができなくなってしまうでしょう。

八重山住民や沖縄県民は、沖縄の現状を踏まえ、日本国憲法に基づく平和主義や基本的人権について学び、日本と国際社会について考えることのできる教科書の採択を強く望んでいます。9月8日の協議の結論は、そのような声に応えたものともいえます。

よって、当会は、文科省に対し、上記した9月15日の通知を撤回し、9月8日の三市町の全教育委員による協議の結論を尊重するよう強く求めます。

以上

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